篠山紀信という稀代の写真家は、被写体が放つ一瞬の輝きを永遠に閉じ込める天才だった。当時、最盛期を迎えていた宮沢りえの瑞々しい肌と無邪気な笑顔、そしてふとした瞬間に覗かせる大人びた憂い。それらすべてが、ニューメキシコ州の強い光と影の中で鮮やかに定着されている。
撮影当時は厳重な情報統制が敷かれ、関係者の間でも極秘プロジェクトとして進められた。撮影秘話として知られるのは、篠山が現場で求めた「過飾の排除」だ。メイクを最小限に抑え、自然光のみに依存したアプローチによって、彼女が持つ生の生命力がファインダー越しにダイレクトに迫ってくる。篠山は生前、当時の撮影を「彼女の体が持つ完璧なフォルムと、現地の乾いた風が見事に調和した奇跡の瞬間だった」と回想している。まさに美の絶頂を記録した歴史的瞬間であった。