日本国内において、この問題が大きな議論を呼ぶきっかけとなったのが、ジャーナリストの宮下洋一氏による一連の密着取材である。神経難病を患い、スイスで自らの意思により人生を終えることを決意した日本人女性の姿を追った番組は、社会派ドキュメンタリーとして制作され、大きな話題をさらった。
その取材成果を結実させたNHKスペシャル『彼女は「安楽死」を選んだ』の放送は、多くの視聴者に「死を選ぶこと」の現実を突きつけた。放映後もNHKオンデマンドなどを通じて視聴され続けており、家族の葛藤や本人の苦悩、日本の医療現場が抱える限界を浮き彫りにした。宮下洋一氏の著作や報道は、それまで遠い異国の出来事と思われていたテーマを、日本人が直視すべき当事者研究へと昇華させたと言える。