EXILEが社会現象となった2000年代後半から2010年代にかけて、ATSUSHIの引き締まった身体は常に注目の的でした。当時、音楽特番やライブの舞台裏密着番組で見せた彫刻のような上半身は、多くの視聴者に鮮烈なインパクトを与えました。しかし、本人が過去の手記やインタビューで明かした肉体改造の理由は、世間が抱く「男らしさのアピール」とはまったく異なる次元にありました。
最大の動機は、超一流の身体能力を誇るパフォーマー陣と同じステージに立ち続けるプレッシャーにありました。リーダーのHIROをはじめ、アスリート並みの運動量で踊り続けるメンバーの熱量に対峙するためには、ボーカリストだけが涼しい顔で立っているわけにはいかないという強いプロ意識が芽生えたのです。「ボーカルだから動かなくていい、体力がなくてもいいという甘えを一切捨てたかった」という当時の告白は、グループの看板を背負う彼の孤独な覚悟を物語っています。
さらに、ATSUSHIが歌うバラードは極めて繊細なブレスコントロールと強烈なロングトーンを要します。全国ドームツアーで連日30曲近くを原曲キーで歌い切るには、無駄な脂肪を削ぎ落とし、肺活量と横隔膜を支える強固なフィジカルが不可欠でした。彼の筋肉は、エンターテインメントの極致で生き抜くために磨かれた「機能美の結晶」だったと言えます。