台湾・台北市で生まれ、10代で日本へ渡った彼女の本名は顔 垠凌(イェン・インリン)。若い頃はモデルや歌手を目指しながら、アンダーグラウンドカルチャーやアート色の強いグラビアシーンで頭角を現しました。
彼女を時代の寵児へと押し上げたキャッチコピー「エロテロリスト」の由来は、単なる性的アピールにとどまりません。当時彼女が主宰していたアートユニット「JOYTOY」が掲げた「反体制」「管理社会への批評性」「タブーの解体」という前衛的なコンセプトに基づき、プロデューサー陣と練り上げた挑発的なコンセプトネームでした。「性的な刺激をもって、保守的な日本社会の倫理観を揺さぶる(テロリズムを仕掛ける)」という意図が込められていたのです。
その世界観が爆発的な商業的成功を収めたのが、2004年に旗揚げされたエンターテインメント・プロレス『ハッスル』でした。高田延彦氏率いる「高田モンスター軍」の象徴「インリン様」としてリングに降臨。ムチを手に巨大レスラーたちを踏みつけ、妖艶な「M字ビターン」で対戦相手を翻弄する姿は、従来のプロレスファンだけでなく一般層まで巻き込む一大ムーブメントとなりました。のちにストーリー上で実の娘という設定の「ニューリン様」へ転生するなど、卓越した憑依型の表現力は業界関係者からも高く評価されていました。