かつて昭和や平成初期の時代、親しみを込めて「保健室のおばちゃん」と呼ばれた時代があった。お茶を飲んで少し休めば教室に戻れるような、のんびりとした避難所というパブリックイメージだ。しかし、いま求められているのは極めて高度な医療・心理的知見を持つ国家資格者としての「養護教諭」の専門性である。
目の前にいる生徒の「頭が痛い」という訴えの裏に、ネグレクトやヤングケアラーの影が潜んでいないか。身体所見と心理状態のわずかな変化を瞬時に見抜き、適切な初動を取らなければ命に関わることもある。感覚的な優しさだけでは決して対応できない、鋭い臨床的アセスメントが常に要求されている。