ネット検索やSNSの古い投稿を見ていると、「カワウソを膝の上に乗せて抱っこしたい」「抱きかかえてツーショット写真を撮りたい」という願望を抱くユーザーが依然として見受けられます。しかし、2026年現在の取材データに基づき断言すると、神奈川県内で合法的にカワウソを直接抱っこできる商業施設は存在しません。これには極めて合理的かつ安全上の理由があります。
第一に、咬傷(こうしょう)事故の甚大なリスクです。愛らしい見た目に反し、コツメカワウソは硬い甲羅を持つカニや魚の骨を噛み砕く強靭な顎と鋭利な牙を持っています。食肉目イタチ科に属する生粋のプレデター(捕食者)であり、警戒心が強く気まぐれな一面を持ちます。過去に抱っこを許容していた海外や一部の旧態依然とした店舗では、利用者が指や顔面を深く噛まれて縫合手術を要する重大事故が度々報告されていました。
第二に、人獣共通感染症(ズーノーシス)の予防です。人間と動物が過剰に密着することは、双方にとって未知の病原体を受け渡すリスクを伴います。現在、神奈川県内の認可施設で行われている「小さな穴から手だけを出してもらう」「トレーナーの管理下で指先のみ触れる」というスタイルは、来園者の安全を守りつつ、カワウソ側にも過度なストレスを与えないために緻密に計算された必要不可欠な防壁(バウンダリー)なのです。