和解を経たふたりが帰るべき場所は、やはり原点である東京・浅草東洋館の舞台だった。寄席の客席に足を踏み入れると、どこか懐かしくも研ぎ澄まされた熱気が立ち込めている。出囃子とともにスーツ姿のふたりが姿を現すだけで、客席からは割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こる。
彼らが極め続けてきた芸の真骨頂は、楽器演奏やリズムアクションを融合させた「音曲漫才」だ。おぼん (漫才師)がトロンボーンを軽快に吹き鳴らし、タップダンスを踏めば、こぼん (漫才師)はサックスやギターを巧みに操り、絶妙な合いの手とボケを重ねる。テンポの良い掛け合いと音楽のグルーヴが融合したステージは、まさに名人芸の極みと言っていい。
漫才という話芸の枠にとどまらず、身体全体でリズムを刻みながら観客を笑いの渦に巻き込んでいく。長年のブランクやわだかまりが嘘のように息の合ったアドリブが飛び交い、客席の隅々まで幸福な笑いが充満する。浅草の演芸場に響き渡るその音色は、劇場文化の豊かさを雄弁に物語っている。