地上波デジタル放送のリアルな利用現場に目を向けると、プライムタイム以外の時間帯における視聴者の熱量と、地方特有の課題が浮かび上がってきます。特に長年ネットコミュニティやSNSで議論の的となってきたのが、長野県深夜アニメ放送予定の枠数制限と、名作ドラマのテレビ信州再放送日程に代表される日中帯の編成パターンです。
県内のアニメファンの生の声を取材すると、「かつては深夜枠に目当てのアニメが入っておらず、BS放送や地上波の電波が届く境界エリアの知人を頼るしかなかった」という過去の苦労が語られます。現在では、NBSやSBCが深夜枠で話題作を継続的に確保しているものの、首都圏の独立局(TOKYO MX等)と比較すれば地上波での絶対的な本数は限られます。その結果、信州のアニメファンは地上波のEPG予約と、dアニメストアやABEMA、U-NEXTといったSVOD(定額制動画配信)を巧みに併用する「ハイブリッド視聴」を自然と身につけています。
また、主婦層やシニア層の間で熱烈な支持を集めているのが、平日の午後14時〜16時台に設定されているドラマの再放送枠です。TSBなどで組まれる人気刑事ドラマやサスペンス、過去のヒット作の再放送は、家事の合間や休息時間の定時習慣として機能しており、「日中の再放送がどの作品に切り替わるか」は地域の井戸端会議における定番の話題となっています。
さらに長野県で特筆すべきは、ラジオとテレビの重層的な連携です。信越放送が提供する信越放送ラジオ番組表をチェックすると、午前のラジオ生ワイドでリスナーから寄せられた地域の話題や農作物の生育状況が、夕方のテレビ番組『ずくだせテレビ』の特集企画へとシームレスに引き継がれる光景が見られます。車社会である信州において、「車内ではラジオを聴き、帰宅後はテレビの番組表で同じパーソナリティの顔を見る」というメディア接触行動は、長野県民のライフスタイルに深く根ざした日常の風景です。