物語が佳境を迎えるにつれ、綾子の執着は常軌を逸していきます。佐藤家の平穏を破壊すべく、真弓の職場や家庭にまで執拗に接近し、秀明を心理的に追い詰めていく姿は、当時のSNS上でも「ホラー映画より怖い」と大きな話題を呼びました。しかし、ドラマのクライマックスは単なる愛憎劇の破滅では終わりません。
秀明と綾子の不倫が白日の下に晒された後、真弓と秀明は一度離婚届を提出し、夫婦としての関係を法的に解消します。家を出て一人暮らしを始めた秀明に対し、綾子は太郎との離婚届を手に押し掛け、無理やり生活を共にしようと画策。しかし、秀明は綾子への罪悪感を抱きつつも「あなたを愛しているわけではない」と明確に拒絶します。
一方、家庭崩壊の危機に直面した茄子田家にも劇的な転機が訪れます。傲慢に振る舞い続けていた太郎が事故に遭い、弱さを露呈したことで、太郎自身が抱えていた綾子への不器用すぎる愛情と孤独が露わになります。病院に駆けつけた綾子に対し、太郎はこれまでの自らの仕打ちを詫び、頭を下げて復縁を懇願。綾子はその太郎の姿に、自らが本当に向き合うべきだった家庭の現実を悟り、秀明への執着を手放して茄子田家へと戻る決断を下しました。
そして注目の佐藤夫妻。秀明は真弓への深い反省と再スタートの意思を伝えますが、真弓はすぐに元のサヤに収まることを拒否します。「元の夫婦に戻るのではなく、お互いが自立した一人の人間として、もう一度恋人からやり直そう」。最終回のラストシーン、真弓の手料理を囲みながらぎこちなくも温かい会話を交わす2人の姿は、形式的な婚姻関係に縛られない「成熟した男女の再生」を力強く提示しました。