志村けんの急逝から年月が流れた今、桑野の胸には師であり盟友であった巨人への想いが色濃く残り続けている。バカ殿様の現場で志村から叩き込まれた「舞台への妥協なき姿勢」と「観客を愛する心」は、現在の桑野のステージングにおける揺るぎない背骨となっている。
盟友・鈴木雅之との絆も色褪せることはない。ビッグステージの舞台裏では、入念な音合わせと肺活量を取り戻すための地道なトレーニングが毎日繰り返されている。かつてのような無茶はできなくとも、一音一音に込めるエモーションの強度はむしろ増している。がんを克服したからこそ奏でられる、泥臭くも温かいブロウ。その知られざる舞台裏には、命を削ってエンターテインメントに捧げる本物の表現者の矜持が息づいている。