映画の屋台骨を支えたのは、マラヤーラム語映画界のトップスター、プリトヴィーラージ・スクマーランの凄まじい役作りだ。彼は健康的な青年から骨と皮ばかりの放牧奴隷へと変貌を遂げるため、徹底的な飢餓ダイエットを行い、31キロもの減量を敢行した。
あばら骨が浮き彫りになり、頬がこけ、瞳だけに獣のような光を宿すその姿は、名優クリスチャン・ベールの肉体改造すら彷彿とさせる。撮影終盤、彼は医師の立ち会いのもとで限界まで体力を削り、文字通り命を削ってナジブの魂を憑依させた。
この極限の映像に息吹を与えたのが、『スラムドッグ$ミリオネア』でアカデミー賞を受賞した巨匠A・R・ラフマーンの音楽だ。乾いた大地を渡る風の音、砂を踏む足音、そして祈りの歌。ラフマーンが紡ぎ出した重厚でスピリチュアルなスコアが、絶望の淵に差す一筋の光を観客の耳の奥深くに響かせる。