教団脱退に至る前、宏洋氏は教団傘下の芸能プロダクションであるニュースター・プロダクションの代表取締役社長を務めていた。教団のメッセージをエンターテインメントの枠組みに乗せて発信する特命を帯び、彼は数々の映像制作を仕切る立場にあった。
その象徴的な作品が、自身も企画や制作に関わった映画『さらば青春、されど青春。』である。一見すると青年の成長と信仰を描いた爽やかな宗教映画だが、その裏舞台では凄まじい内部葛藤が渦巻いていた。教団側が要求する「神格化されたメッセージ」の注入と、彼自身が目指す「娯楽としての映画表現」との間には、決して埋まらない深い溝が存在したのだ。社長というポジションでありながら、自らの意思が教団の意向によって上書きされる無力感。エンターテインメント産業の世界で培った彼の感性は、皮肉にも教団組織の閉鎖性を浮き彫りにする刃となった。