iPS細胞による純粋な再生医療と並び、実用化の最前線を走るもう一つの巨大な軸が、東京慈恵会医科大学の横尾隆教授らのチームが主導する「異種移植プロジェクト」だ。横尾教授らは、ブタの発生途上にある胎児の腎臓芽(発生初期の腎臓組織)を、腎不全を患う生体へ移植して成長させるという前人未到のアプローチを提唱し、世界中を驚かせた。
この手法の最大の強みは、移植された組織が宿主の血管と接続し、自律的に成長して実際に尿をろ過・生成する能力を獲得する点にある。遺伝子改変技術によって人体への拒絶反応を起こさないミニブタの発生系が確立されたことで、人間への臨床応用のハードルは一気に下がった。2026年、動物実験からヒトへのファースト・イン・ヒューマン(初臨床)移行へのカウントダウンは最終局面を迎え、世界中の研究者がその一挙手一投足に注目している。