ネット空間や一部の週刊誌で「オネエ化」と取り沙汰されることに対し、彼は決して自虐的にならず、むしろそれを包み込むような優しさと強さで歌声を届けてきた。世間が貼る安易なレッテルを吹き飛ばすように提示されたのが、「KIINA.(キィナ)」という新たなアーティスト名義である。
「KIINA.」という名には、ありのままの自分、ナチュラルで美しく、生き生きとした存在でありたいという願いが込められている。男性か女性かという二項対立の概念を脱ぎ捨て、一人の人間として歌い、表現する。そのしなやかな生き方は、単なる芸能界の話題にとどまらず、ジェンダー観の転換期を迎えた日本の文化シーンにおいて、象徴的な出来事として記憶されることとなった。