住まいに求められる質感が、劇的な変容を遂げている。直線的で無機質なミニマリズムの時代は去り、温かみのあるテクスチャーと有機的なフォルムを組み合わせたデザインが主流となった。空間全体の色調を低彩度のトープやアースカラーで整え、真鍮やマットブラックのメタルパーツで空間を引き締めるアプローチが人気を博している。
シンメトリー(左右対称)を重視した幾何学的な構成も再注目されている点だ。ウェス・アンダーソン監督の名作映画『グランド・ブダペスト・ホテル』に見られるような、完璧な視覚的均衡とストーリー性を感じさせる配色美学は、個人の邸宅設計にも色濃く反映されている。クラシカルな要素を現代的な感性で再解釈するホテルライクスタイルが、新たな時代のアイコンとして定着した。