10分近いアコースティック主体の楽曲は、当初、通常のプロモーション枠には到底収まらない異端児だった。しかし、関西の毎日放送(MBS)のラジオ番組が楽曲をノーカットでヘビーローテーションしたことを皮切りに、口コミは爆発的な広がりを見せる。
リスナーのリクエストが殺到し、楽曲は瞬く間に全国区へ波及。毎日放送の開局60周年記念として制作された『ドラマ特別企画 トイレの神様』はゴールデンタイムに放映され、視聴者の涙を誘った。さらにその年の暮れには、放送時間の制約が極めて厳しい『NHK紅白歌合戦』に初出場を果たし、ほぼフルコーラスで歌唱するという前代未聞の待遇を受けるに至った。
メディアが感動のシンボルとして大々的に祭り上げたことで、曲は本人の意図を超えて「国民的道徳ソング」のような重圧を背負わされることになった。この過度な美談化こそが、冷ややかな視線を持つ層の反感をさらに強める逆風となった側面は否定できない。