歯を抜いた部位と喉は一見離れているように思えますが、口腔解剖学的に見ると極めて密接な位置関係にあります。特に下顎の親知らず(下顎第3大臼歯)の根元は、喉へとつながる筋肉やリンパ組織、神経のすぐそばに位置しています。
抜歯を行う際、歯肉を切開したり骨を削ったりする外科的な刺激が加わると、生体防御反応として周囲組織に強い炎症が生じます。この炎症が組織の隙間(組織間隙)を伝わって喉の粘膜や筋肉へと広がる「炎症波及」こそが、喉の腫れや痛みを引き起こす根本的な要因です。
さらに、物を飲み込む際には咽頭収縮筋や舌の付け根周辺の筋肉が大きく動きます。抜歯による炎症がこれらの筋肉付近まで波及していると、唾液や食べ物を飲み込む動きそのものが刺激となり、強い嚥下痛を感じることになります。風邪による喉の痛みと似ていますが、抜歯側の喉だけが片側性に痛む点も大きな特徴です。