「爪の黒い線くらいで病院に行って笑われないだろうか」と受診をためらう人は少なくありません。しかし、皮膚科専門医にとって爪甲色素線条の鑑別は日常的かつ極めて重要なルーティン診療です。
皮膚科を受診すると、通常は「ダーモスコピー」と呼ばれる特殊な拡大鏡(皮膚顕微鏡)を用いた検査が行われます。この検査は患部にジェルや液体を塗布して光を当て、皮膚深部の色素沈着パターンを無痛かつ数十秒で観察できるもので、健康保険が適用されます。
ダーモスコピーで規則正しい直線状のパターン(平行規則的パターン)が確認できれば良性と判定され、半年に1回程度の経過観察となります。一方で、線の太さや間隔が不規則であったり、色素が乱雑に途切れる「平行不規則パターン」や皮膚への漏出が認められた場合は、大学病院やがんセンター等の高次医療機関へ紹介され、爪母組織の一部を採取する生検(バイオプシー)によって確定診断を行います。