ムカデを殺してはいけない理由は?仲間を呼ぶ噂の真相と安全な退治法

ムカデを殺してはいけない理由は?仲間を呼ぶ噂の真相と安全な退治法

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どんなに対策を講じていても、就寝中や脱衣所で不意に咬まれてしまう事故は起こり得ます。ムカデの咬傷事故において、昭和・平成初期に広く信じられていた「冷水で冷やす」「毒を口で吸い出す」という処置は、現在の救急医療では症状を悪化させる危険なNG行動として明確に否定されています。

日本ペストコントロール協会および救急医学の知見に基づく、正しい初期対応プロトコルは以下の通りです。

ムカデの毒腺から注入される毒素には、ヒアルロニダーゼ、セロトニン、ヒスタミン様物質、各種ペプチドなど多様なタンパク質毒が含まれています。これらの毒素タンパク質は「43℃以上、46℃前後の熱」によって構造破壊(熱変性)を起こし、毒性を急速に失うという極めて顕著な物理的特性を持っています。

冷水で冷やしてしまうと、毒素が変性しないばかりか患部の毛細血管が収縮し、毒素が皮下に長時間停滞して激痛と腫れを何倍にも引き延ばす結果となります。受傷した直後は、火傷しない限界の温度である43℃〜46℃のシャワーを患部に直接当て、15分〜20分間かけ流し続けるのが劇的な疼痛緩和をもたらす最善手です。

温熱洗浄を行った後は、毒素を絞り出すように弱酸性の泡石鹸で優しく洗浄し、市販の抗ヒスタミン成分・強ステロイド外用薬(フルオシノロンアセトニド配合軟膏など)を塗布して患部を安静に保ちます。

ただし、激しい動悸、息苦しさ、全身の蕁麻疹、冷や汗、意識の混濁などの症状がみられた場合は、ハチ毒と同様の「アナフィラキシーショック」を起こしている疑いがあります。過去に一度でもムカデに噛まれた経験がある人は重症化リスクが格段に跳ね上がるため、迷わず救急車を要請するか、即座に皮膚科・救急外来を受診してください。

渡辺 美咲
著者

渡辺 美咲

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。