多くの読者が検索してやまないのが、喜多見監督率いる埼玉県立朝沼高校の甲子園での最終的な戦績と結末です。王道の少年漫画であれば「甲子園初出場で初優勝」という劇的な幕切れを用意しがちなところ、原秀則が描いた結末は極めて冷徹かつ人間味あふれるリアルなものでした。
エース江崎重信を擁する朝沼ナインは、埼玉予選の死闘で強豪・私立神名高校との因縁を制し、ついに悲願の甲子園出場を成し遂げます。全国の大舞台でも快進撃を続け、破竹の勢いで決勝戦へと駒を進めました。しかし、真紅の大優勝旗をかけた決勝戦で対峙した名門校との一戦において、極限まで投げ抜いてきた江崎の疲労、そして選手層の厚さという公立校特有の壁が立ちはだかります。激闘の末、朝沼高校はサヨナラ負けを喫し、「夏の甲子園・準優勝」でその挑戦を終えることになります。
しかし、グラウンドに散った選手たちに後悔の影はありませんでした。泥だらけのユニフォームで整列し、相手を称え、やりきった笑顔と涙を見せるナイン。試合後、喜多見監督は学校側に引き留められることなく、自らの役目を終えたかのように静かに朝沼高校を去っていきます。
エピローグでは、喜多見の教えを胸に新たな進路へと歩み出す江崎たちの卒業と、受け継がれる野球部の日常が描かれます。そして物語のラストカット、遠く離れた別の弱小校のグラウンドにふらりと現れた喜多見監督が、どこか不敵な笑みを浮かべながら放つ一言――「やったろうじゃん!」。この潔くも未来へ続く幕引きこそが、連載終了から数十年を経てもファンの間で語り継がれる理由です。