日本女子レスリングは軽量級・中量級において無類の強さを誇ってきた一方、最重量級(72kg〜76kg級)は欧米勢の圧倒的な体躯とパワーに阻まれ、長年「世界の壁」とされてきました。鏡選手がその壁を打ち破った最大の要因は、徹底した体幹強化とスピード重視のパワー設計にあります。
当時の特番インタビューや指導陣の証言によると、鏡選手は単に筋量を肥大化させるだけでなく、男子選手とのスパーリングを日常的に実施。相手の重心を瞬時に崩す強靭な下半身の粘りと、一瞬の隙を突く高速タックルの連動性を極限まで高めました。重量級でありながら身軽に動き回るフットワークと、後半になっても落ちない心肺機能の高さが、パリ五輪決勝をはじめとする接戦で勝負を分ける決定打となりました。