ニュース報道を見ていると、「富士山で初雪」という表現と「富士山の初冠雪を発表」という表現が混在し、混乱を招くことが少なくありません。気象用語としての両者には、厳密な観測ルールと制度上の境界線が存在します。
まず「初雪」とは、気象官署(観測所)において、その冬初めて観測された雪(みぞれを含む)そのものを指します。かつて富士山頂に気象庁の職員が常駐していた「富士山測候所」時代には、山頂における初雪が公式に記録されていました。しかし、2004年に富士山測候所が自動化・無人化されて以降、気象庁による公式な「富士山頂の初雪」の目視観測は終了しています。
一方、現在メディアで大々的に報道されるのは甲府地方気象台による「初冠雪」の公式発表です。初冠雪とは、山麓の気象台から目視で山の一部または全体が雪などの固形降水で白くなった状態を初めて確認した日を指します。つまり、「実際に山頂で雪が降った瞬間」ではなく、「遠く離れた観測所から白くなった山容が確認できた瞬間」が記録日となります。