別府市街地からやや山手、鉄輪(かんなわ)温泉地区を見下ろす丘陵地に整備された湯けむり展望台。この地が名所として全国区の知名度を得た契機は、2001年にNHKが公募した「21世紀に残したい日本の風景百選」において、富士山に次ぐ全国第2位に選ばれたことでした。さらに2010年にはその夜間景観の情緒と文化価値が評価され、「日本夜景遺産」のライトアップ夜景遺産部門に正式認定されています。
別府市観光課の公表資料および景観保全ガイドラインによると、鉄輪温泉街には数千カ所におよぶ源泉が存在し、毎分膨大な温泉水とともに高温の蒸気が噴出しています。市街地と山林、そして海が狭い平野部に凝縮した別府特有のすり鉢状の地形が、湧き上がる白煙を一望できる天然の鑑賞ステージを創り出しました。
一般的な都市夜景が人工的なビル群の光量に依存するのに対し、湯けむり展望台の夜景は「生きている地球の息吹」と「人々の生活の営み」が重なり合う有機的な美しさにあります。静まり返った夜空へとゆらめく湯煙が街明かりを柔らかく拡散させ、鑑賞者に深いリラクゼーションをもたらす点が、現代のトラベラーから絶大な支持を集める最大の要因です。