田中好子の真実|最後の肉声テープが語る闘病と女優魂

田中好子の真実|最後の肉声テープが語る闘病と女優魂

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田中好子の訃報が報じられたのは、2011年4月21日のことでした。死因は乳がん(多発性骨転移・肺転移)。享年55という早すぎる旅立ちに、芸能界のみならず日本中が深い悲しみに包まれました。その告別式(同年4月25日)において、参列者や日本中のファンを大きく揺さぶったのが、式場に響き渡った田中好子本人の「肉声テープ」でした。

このメッセージは、逝去するわずか23日前の2011年3月29日、入院中の病床で本人の強い意志によりICレコーダーへ吹き込まれたものです。当時、呼吸困難を伴う過酷な体調でありながら、途切れ途切れになる息を整え、約3分20秒にわたり語りかけました。その冒頭で彼女が口にしたのは、自らの病状ではなく、直前の3月11日に発生した東日本大震災の被災者への気遣いでした。

「こんにちは、田中好子です。きょうは3月29日、東日本大震災から2週間たちました。被災された皆様のことを思うと、心が裂けるように痛みます。でも、必ず復興できると信じています」
「キャンディーズでデビューして以来、皆様に愛されて本当に幸せな一生でした。……もっともっと女優を続けたかった。でも、感謝の気持ちでいっぱいです。天国から被災地のお役に立ちたいと思います」
(※告別式で公開された肉声テープより一部抜粋)

死の淵に立たされながらも、自分自身の運命を恨むことなく、周囲への感謝と被災地への祈りを捧げたその言葉は、利他の精神そのものでした。出棺の際、元キャンディーズの盟友である伊藤蘭と藤村美樹が棺に取りすがり、「スーちゃん、ありがとう!」と涙ながらに叫んだ姿は、多くの人々の記憶に深く刻まれています。

清水 千尋
著者

清水 千尋

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。