ダムの渇水報道において、ネットやSNS上で最も頻繁に発生する誤解が「貯水率が0%になったら、ダム湖の水は完全に干上がって空っぽになる」という思い込みです。これは明確な誤りです。
早明浦ダムの構造上、貯水容量は以下の3層に区分されています。
- 利水容量(約1億7,300万立方メートル):通常の生活・工業・農業用水として利用するために確保されている容量。ニュースで報じられる「貯水率」はこの容量に対する割合です。
- 発電専用容量(約2,500万立方メートル):電源開発(J-POWER)の水力発電のために割り当てられている容量。渇水が極限状態に達した際は、関係自治体と電源開発の間で緊急協定が結ばれ、この発電用水が利水目的へ緊急放流されます。
- 死水容量(堆砂容量など):ダムの最低水位(取水管の吸い口)よりも下にある水。物理的に取水制限をかけても取水できない底部ですが、水自体は存在しています。
つまり、公表される貯水率が0%に達したとしても、ダム湖には発電専用容量や死水容量の水が残っており、即座にすべての給水が物理的になくなるわけではありません。ただし、発電容量の緊急使用は最終手段であり、水質の悪化や発電停止による電力逼迫といった別の重大リスクを伴うため、決して楽観視できる状態ではないことを正しく理解しておく必要があります。