プロスポーツ選手の年俸を語るうえで避けて通れないのが、税金や諸経費を差し引いた実質的な取り分です。イチロー手取り年俸については、本拠地が置かれていたワシントン州の税制が大きな追い風となりました。
ニューヨーク州やカリフォルニア州では州所得税が10%以上課されるのに対し、マリナーズの本拠地シアトルがあるワシントン州には「州所得税が存在しない」という大きなメリットがありました。遠征先で試合を行うたびに発生する「アスリート税(ジョック・タックス)」や連邦所得税(最高税率約37〜39.6%)、代理人手数料(約3〜5%)などを考慮しても、一般的なメジャーリーガーと比較して手取り比率は約50%前後と、手元に残る資金効率は非常に高かったと試算されます。
また、イチロー氏はグラウンド外での商業的価値も圧倒的でした。キリンビール、佐藤製薬(ユンケル)、ミズノ、SMBC日興証券など、日米を代表する一流企業との長期スポンサー契約を維持し、現役時代の副収入だけでも年間10億円規模を稼ぎ出していました。これらの蓄積と手堅い資産運用を踏まえ、イチロー現在の総資産は各種メディアの推計で250億〜300億円規模に達していると目されています。
近年の2026年最新年俸事情に照らし合わせると、現在のメジャー日本人年俸ランキングでは大谷翔平選手や山本由伸投手の契約総額が桁外れに見えます。しかし、放映権料バブルやインフレが加速する以前の2000年代初頭から中盤にかけて、単独で20億円近い年俸と莫大なスポンサーマネーを動かしていたイチロー氏の存在感は、経済的にもパイオニアと呼ぶにふさわしいものです。