「なぜあの国がこの順位なのか」という疑問を解消するには、経済平和研究所が採用している23項目の評価基準を理解する必要があります。GPIは漠然とした治安イメージではなく、明確に3つのドメインに分類された数値データで厳密に計算されています。
① 継続中の国内および国際紛争(Ongoing Domestic and International Conflict)
対外的な戦争への関与度、隣国との国境紛争、国内の反乱や武力衝突の有無を測る指標です。戦闘による戦死者数や近隣諸国との外交的緊張度が直接スコアに跳ね返ります。
② 社会的安全・治安(Societal Safety and Security)
市民生活に直結する項目群です。人口10万人あたりの殺人事件発生率、暴力犯罪の認知件数、受刑者数、警察官の比率、テロリズムによる影響度、難民・国内避難民の数などが厳格に集計されます。
③ 軍事化の度合い(Militarisation)
国内総生産(GDP)に占める防衛軍事費の割合、人口あたりの現役軍人数、通常兵器の輸出入量、重火器保有数、核兵器・重火器へのアクセス能力などが判定されます。どれだけ国内治安が良くても、軍備増強を進めている国家はこのカテゴリーでスコアを落とす仕組みです。
旅行者が感じる「夜道を歩けるか」「スリに遭いにくいか」という感覚は、主に第2ドメインの「社会的安全・治安」に集約されます。一方、国家間の安全保障問題は第1・第3ドメインで激しく採点されるため、旅行者の直感と総合ランキングの間にギャップが生じます。