実写とCGの極限の融合を追求するクリストファー・ノーランのような映画作家にとって、巨額の制作費は表現の純度を高めるための絶対的な武器だ。『オッペンハイマー』や『TENET テネット』のような作品群を見れば明らかなように、ノーランの手がけるプロジェクトでは3000万ドル規模の資金投下が幾重にも積み重ねられていく。
巨大なIMAXカメラを用いた特殊撮影、本物の航空機を爆破する実写スタント、世界各地での大規模ロケーション。配給会社が投じる巨額のドルは、スクリーン上で圧倒的な視覚体験へと昇華される。米ドル建てで膨れ上がる製作費を回収するためには、北米市場だけでなく、円やユーロを含む全世界の興行収入をいかに最大化できるかが生死を分ける。