自動販売機やレジで扱う日本の硬貨(1円、5円、10円、50円、100円、500円)に磁石を近づけても、どれ一つとして吸着しません。特に「50円玉や100円玉にはニッケルが含まれているのになぜ?」と疑問を抱く方は少なくありません。
造幣局の公式データによると、50円玉・100円玉・500円玉は「白銅(銅75%、ニッケル25%)」や「ニッケル黄銅」で作られています。ニッケル単体は強磁性体ですが、銅の中にニッケル原子が溶け込む(固溶する)と電子配置が変化し、全体として磁性を示さなくなります。
また、10円玉(青銅:銅約95%)や1円玉・アルミホイル(アルミニウム)がつかない物理的な理由は、物質の磁化率の違いにあります。
- 反磁性(銅・金・銀など):磁界を近づけると、それとわずかに逆向きの磁気モーメントが発生し、ごく微弱に反発する性質。人間が手で感じることはできませんが、精密測定器では反発力が観測されます。
- 常磁性(アルミニウム・チタンなど):磁界を近づけると外部磁界と同じ向きにごくわずかだけ引き寄せられますが、熱運動によって電子の向きがすぐに乱れるため、磁石にくっつくような吸着力は生じません。