「おもしろい方へ」という言葉は、特定の1人だけが独占するフレーズではなく、時代を切り拓いてきた表現者や哲学者たちがそれぞれの表現で手記やインタビューに残してきた普遍的な共通項です。なかでも最も象徴的な人物として挙げられるのが、芸術家の岡本太郎です。
岡本太郎は著書『自分の中に毒を持て』の中で、「危険な道、辛い道、自分がダメになるかもしれない方へ賭ける」「面白そうだからやってみる、それだけで十分だ」と痛烈なメッセージを残しました。彼が説く「面白さ」とは、ぬるま湯のような安らぎではなく、自我を揺さぶり未知の可能性を開拓するスリルそのものを指しています。
また、幕末の志士・高杉晋作の辞世の句とされる「おもしろき こともなき世を おもしろく」や、長年エンターテインメント界の第一線を走り続けたタモリ(森田一義)が語る「迷ったら面白い方に転がった方がいい」という処世術も同根です。いずれも、「客観的な正解」を探すのではなく「主観的なエネルギーが最も湧き出る選択肢」を直感で掴み取ることの尊さを伝えています。