染谷将太が「二世俳優」と誤解されやすい最大の理由は、若くして漂う熟練の風格と、妥協のない役作りにあります。しかし、そのキャリアの実態は親の威光とは無縁の、過酷な現場で揉まれてきた「生粋の叩き上げ」です。
彼は7歳の時(1999年)に自らの意志で子役として活動を開始しました。劇団ひまわり等に所属し、数多くのオーディションを受け続ける日々を送ります。2001年に映画『STACY』でスクリーンデビューを果たし、その後も名もなき少年役や通行人役を含め、地道に現場経験を積み重ねていきました。
決定的な転機となったのは、2011年公開の園子温監督作品『ヒミズ』です。主演を務めた染谷将太は、共演の二階堂ふみと共に第68回ヴェネツィア国際映画祭において最優秀新人賞にあたる「マルチェロ・マストロヤンニ賞」を日本人として初めて受賞しました。当時19歳という若さで世界の映画界に名を轟かせたこの快挙は、親の威光や事務所の力学が一切通用しない国際審査員たちの厳正な審美眼によってもたらされたものです。