本作が数ある失恋ソングの中でも突出したリアリティを放つ背景には、フロントマン・野田洋次郎自身の極めてパーソナルな実体験が存在します。初期のRADWIMPSの楽曲群(『25コ目の染色体』『ふたりごと』『有心論』など)において赤裸々に歌われてきた「特定の恋人」との関係性の終焉が、この『me me she』で決定的な形で描かれていることは、ファンの間でも広く知られています。
歌詞中では、別れを迎えた二人の距離感が痛切な言葉で綴られます。特に印象的なのは、相手の幸せを心から願おうとする理性的で大人な自分と、「次の男のどこにも僕を見つけないでほしい」というエゴイスティックな本音との激しい葛藤です。別れを受け入れなければならない現実と、相手の記憶から自分が消え去ることへの恐怖。この「美化されない男性の本音」こそが、虚飾のない実話ならではの生々しさを生み出しています。
ひらがなを効果的に用いた素朴な語り口は、飾らない手紙を読んでいるかのような親密さをリスナーに与え、聴き手自身の過去の失恋の記憶とダイレクトに結びつく構造になっています。