なぜこれほどの差が生じるのか。その根底には、靴作りの基礎となる「ラスト(木型)」の設計思想と、人種による「足型骨格の違い」という人間工学的な要因が深く関わっています。
1. 日本の「足長基準」と欧州の「木型長基準」の根本的な違い
日本のJIS規格靴は、「足そのものの実寸長(足長)」が23.5cmである人のために、あらかじめメーカー側が適切な捨て寸(約1.0cm〜1.5cm)を計算して靴内部を作ります。つまり、足長23.5cmの人が23.5cmの靴を買えば、靴の内寸は約24.5cm〜25.0cmで仕上がっています。
対してヨーロッパのパリポイント方式は、「靴型(木型)の全長」を基準にナンバリングされます。そのため、つま先の形状がポインテッドトゥ(尖った形)になればなるほど見かけ上のサイズ(捨て寸)が長くなり、足が収まる有効空間は狭くなります。この設計思想の差を理解していないことが、海外靴サイズ選び方失敗の主因です。
2. 骨格構造の違い(扁平・低甲の欧州足 vs 扇状・高甲の日本足)
日本人女性の足は、親指から小指にかけて扇状に広がり、親指が最も長い「エジプト型」や足幅(ワイズ)がE〜2Eと広めの傾向があります。一方、欧州人の足は人差し指が長い「ギリシャ型」が多く、骨格全体が薄く甲が低い(ワイズB〜D)、いわゆる「長狭甲低」の立体構造を持っています。
そのため、イタリア靴サイズ37を履いた場合、「縦の長さ(足長)は余っているのに、親指と小指の付け根(ボールジョイント)が極端に締め付けられて痛い」という現象が多発します。この横幅の窮屈さを「サイズが小さい」と誤認して38に上げてしまうと、今度は踵がすっぽ抜けて歩行困難に陥るという悪循環が生まれるのです。