「赤と緑を混ぜると何色になるのか」という問いに対する正確な答えは、「対象が物質(絵の具や染料)なら茶色〜黒褐色、対象が光(照明やディスプレイ)なら黄色」となります。日常会話で混同されがちなこの二面性は、色彩科学において「加法混色」と「減法混色」という真っ向から対立する2つの原理によって支配されています。
まず、絵の具やインクのような「物質」を混ぜる場合、色は混ぜれば混ぜるほど元の鮮やかさを失い、明度が低下して暗くなっていきます。赤と緑は色相環(色を円状に並べた輪)においてほぼ正反対に位置する「補色」に近い関係にあるため、お互いの鮮やかさを激しく打ち消し合い、最終的には深い茶色、あるいは濁った土色へと変化します。
対照的なのが、スマートフォンの有機ELディスプレイや舞台照明といった「光」を重ね合わせるケースです。暗闇の中で赤いスポットライトと緑のスポットライトを同じ壁面に向けて照射すると、重なり合った中心部は驚くほどクリアな「イエロー(黄色)」として目に飛び込んできます。光は重なるほどエネルギーが増大して明度が高まり、最終的には純白へと近づいていく特性を持つためです。