近年、整備動画の普及によって「自分でパーツを交換して安く済ませよう」と試みるユーザーが激増していますが、そこにはネット上の誤った情報拡散による深刻な安全性の罠が存在します。
筆頭に挙げられるのが自転車ブレーキ種類と構造に関する致命的な無理解です。スポーツ車に急激に標準化された「ディスクブレーキ」には、ワイヤーでピストンを引く機械式(メカニカル)と、ミネラルオイルの圧力でピストンを押し出す油圧式(ハイドロリック)が存在します。ネット掲示板などで「ブレーキが鳴くから油を挿した」という凶気の投稿が散見されますが、ディスクローターやブレーキパッドに潤滑油(CRC-556など)が付着すると摩擦係数がゼロになり、ブレーキが完全に効かなくなります。一度オイルが染み込んだパッドは再研磨しても復活せず、新品交換以外の修復手段はありません。
次に横行しているのが、前述したハンドルステム周りの規格違いです。「見た目が似ているから」とネット通販で海外製ステムを安価に購入したものの、自車のハンドル径が25.4mmであるにもかかわらず31.8mm用ステムを強引に挟み込み、走行中にハンドルが脱落して前歯を折るような大事故が後を絶ちません。コラム径(フロントフォークから伸びるパイプの外径)にも「ノーマル(1インチ)」と「オーバーサイズ(1-1/8インチ)」が存在し、スペーサーやプレッシャーアンカーの互換性は極めて厳密です。ミリ単位の規格差を見落としてはなりません。