市川実日子は、近年さらにその演技の幅を広げている。時にユーモラスで、時に鋭く、作品のスパイスとなるような役どころを見事にこなし、ドラマや舞台でも欠かせない存在となった。彼女が画面に現れるだけで、作品全体のリアリティが一段階引き上げられる。
一方の加瀬亮も、国内外の作家主義的な監督たちからラブコールを受け続けている。ハリウッドやヨーロッパの映画人とも渡り合うそのニュートラルな姿勢は、日本の俳優の中でも極めて特異だ。年齢を重ねるごとに削ぎ落とされていくその佇まいは、もはや一種の求道者のようでもある。