温浴施設の突然の閉店でしばしば社会問題化するのが、前売りされた回数券の失効トラブルです。しかし、松阪温泉鈴の湯の閉館に際しては、運営会社による極めて誠実な清算手続きが実施されました。
公式発表資料に基づくと、2022年8月の閉館告知と同時に、未使用の入浴回数券に対する現金払い戻し期間が設定されました。閉館前の店頭受付のみならず、閉館後も9月中旬まで特設窓口を設けて返金に応じるなど、資金決済法に則った透明性の高い対応が行われています。2026年現在においては、法定の受付期間および除斥期間が完全に満了しているため、手元に残った古い回数券の払い戻しや他店舗での利用はできません。
運営会社側の視点に立つと、赤字を垂れ流しながら突然倒産して債権放棄に至る悪質なケースとは異なり、鈴の湯は債権者や利用者への精算責任を果たし切った上で計画的な事業終了を選んだといえます。この整然とした幕引きの経緯こそが、地元住民の間で現在も悪評ではなく惜別の念をもって語り継がれている大きな理由です。