二人の物語の原点は、平子祐希が無名の下積み時代を過ごしていた二十代前半にさかのぼる。友人の紹介で出会った瞬間、平子は真由美さんの放つ柔らかで凛とした雰囲気に一瞬で心を奪われたという。当時、お笑い芸人としての収入はほぼゼロに等しく、未来の保証などどこにもない。それでも彼女は、彼の才能と人間性を疑うことなく隣で笑い続けた。
結婚当初の極貧生活は過酷を極めたが、平子の記憶にあるのは貧困の苦しみではなく、狭いアパートで分け合った温もりだ。真由美さんが仕事帰りに買ってくる小さなスイーツを二人で半分こにし、何時間も夢を語り合う。彼にとって彼女は「苦労を共にした戦友」であると同時に、出会った日から一度も魅力を失わない「唯一無二のヒロイン」であり続けた。
現在でも「帰宅したらまず玄関でハグをする」「寝る前には必ず愛していると伝える」「メイクや髪型の微細な変化を絶対に見逃さない」といったルーティンは一切崩れない。一般的な夫婦が照れや慣れで省略してしまうコミュニケーションを、彼は呼吸と同じ熱量で積み重ねている。