教育相談室やカウンセリングの現場、SNSのコミュニティには、「かつて良い子だった大人たち」の痛切な告白が日々寄せられています。大手掲示板や知恵袋、取材に応じた当事者の手記から浮かび上がるのは、周囲の期待に応え続けた果てに訪れる深い疲弊です。
都内のIT企業に勤務する30代女性は、幼少期からの成育歴を次のように振り返ります。
「小学校から高校までずっと学級委員で、親の自慢の娘でした。一度も親に口答えせず、勧められた国立大学に進学しましたが、就職活動の面接で『あなた自身は何がやりたいですか?』と問われた瞬間、頭が真っ白になりました。親が望む選択肢を選び続けてきたため、自分の感情や好みが完全に麻痺していたのです。30歳を過ぎた今も、他人の顔色が怖くて本音を口にできません」
一方、学生時代に周囲から「問題児」「手のつけられない悪い子」とレッテルを貼られていた40代男性経営者は、異なる視点を提供しています。
「授業中にじっと座っていられず、理不尽な校則には徹底的に反発していました。教師や親からは散々怒鳴られましたが、自分の違和感を無理やり封じ込めなかった経験が、既存の枠にとらわれない起業のエネルギーになりました。あの時、大人の言う通りに自分を矯正していたら、今の自分は間違いなく存在しません」
ネット上の生の声を集約すると、「手のかからない良い子」ほど社会に出てから人間関係のバウンダリー設定や自己主張に苦しみ、逆に「反抗的だった悪い子」の方が自活能力やメンタルのしなやかさを獲得しているという、逆転現象が明確に観察されます。