アニメ版のラストでは、ネロの無実を知ったコゼツ旦那や村人たち、絵画コンクールでネロの才能を認めた審査員の画家が大聖堂に駆けつけ、変わり果てた姿のネロとパトラッシュを前に涙を流して懺悔します。物語はここで幕を閉じますが、原作小説にはその後の過酷な現実が記されています。
原作におけるアロアのその後は、決して幸福なものではありませんでした。ネロの死に激しい衝撃と絶望を受けたアロアは、生涯独身を貫くことを決意し、若くして修道院に入り修道女(シスター)となります。そして、ネロの死から数年後、悲しみを抱えたまま短い生涯を閉じたと伝えられています。
村人たちの身勝手な偏見と差別の代償は、愛する幼馴染を失ったアロアの人生をも狂わせる結果となりました。アニメ版が提示した「天国での救済」という美しい幕引きの裏には、冷徹な現実を突きつける原典のドラマが存在していたのです。