売上が即座に取り消されないとはいえ、サインをもらい忘れた状態は契約上大きな火種を抱えています。加盟店(店舗)がカード会社や決済代行会社と交わしている加盟店規約には、明確に本人確認(サインの受領またはPIN入力)の義務が定められているためです。
最も警戒すべきは、後日カード会員から「身に覚えのない利用がある」「カードを不正利用された」という異議申し立てがあったケースです。カード会社から利用事実の確認を求められた際、店舗側はクレジット売上票の控えを提示して正当な取引であったことを証明しなければなりません。しかし、そこに本来あるべき本人のサインが存在しない場合、加盟店は本人利用を証明できず、カード会社から売上を強制的に差し戻されるチャージバック(売上取消および返金請求)を受けることになります。
逆に言えば、正規のカード会員が自身の買い物であることを認め、利用代金を正常に引き落としできている限りは、サインが抜けていたという理由だけでカード会社から突如入金を止められる事態は極めて稀です。ただし、万が一の不正利用発覚時に店舗側が100%の損失を被るリスクを背負うことになります。そのため、サイン漏れに気づいた段階で店長へ即座に報告し、必要に応じて端末側のアクワイアラー(カード会社窓口)へ問い合わせを行い、取引番号と伝票番号を控えておく記録管理が必須となります。