グループの交渉役である辻本拓海を演じた綾野剛は、心に深い傷を抱えながら犯罪に手を染めていく男の哀愁と刃のような鋭さを鮮烈に表現した。感情を抑えた静かな立ち振る舞いの中に、ふとした瞬間見せる暗い情念。その演技は、作品全体の孤独なトーンを決定づけている。
対するリーダー・辻本の上役に君臨するハリソン山中役の豊川悦司は、圧倒的なカリスマ性と底知れぬ凄惨さを漂わせる。紳士的な言葉遣いの裏に潜む冷酷無比な悪魔的本質。二人が交わす短い対話や視線の交錯は、画面が割れんばかりの張りつめた緊張感を醸し出す。まさに相関図の中心で異彩を放つ、最高の対決軸だ。