野村総合研究所の調査によれば、日本の富裕層は「純金融資産保有額1億円以上5億円未満」の世帯と定義される。100万ドル(約1億5,000万円)の資産を持つ日本人は、この定義に照らせば明確に富裕層に該当する。同調査では、純金融資産1億円以上の世帯は全国で約149万世帯とされており、これは全世帯の約2.7%に相当する。つまり、100万ドルの資産を持つということは、日本人の上位3%に入るということを意味するのだ。
ただし、この「富裕層」という括りは、日本国内の相対的なものに過ぎない。世界的に見れば、100万ドルは「ミリオネア」の最低ライン。キャップジェミニのワールド・ウェルス・レポートによれば、世界の富裕層(投資可能資産100万ドル以上)は2,000万人を超えており、100万ドルはグローバル富裕層の「入場券」に過ぎない。日本円換算で1億5,000万円という金額は、国内では突出していても、国際的には「スタート地点」なのだ。
ネット上では「100万ドルあればFIREできる」「いや、日本では1億円では心もとない」といった議論が繰り返し交わされている。実際のところ、生活水準をどこに置くかで答えは180度変わる。都心で子育てをしながら、外食や旅行を楽しみ、老後も不安なく過ごすには、1億5,000万円でも「十分とは言い切れない」という声がある一方、地方都市で質素に暮らすなら「余裕で足りる」という意見も根強い。このギャップこそが、100万ドルを巡る議論の本質だろう。