『サマーウォーズ』の魅力は、破天荒なバトル展開だけではない。物語の要所に散りばめられた緻密な伏線回収の手腕にある。陣内家の大黒柱である栄おばあちゃんが全国の政財界や政界の重鎮に電話をかけまくるシーンは、終盤における「アナログな人のつながり」がデジタル空間の崩壊を食い止めるという主要テーマの直接的な伏線だ。
さらに、劇中で繰り返される花札(こいこい)のルールや、健二が数学オリンピックの日本代表候補から落選したという冒頭のプロフィール設定まで、すべてがラストシーンの計算能力の発揮と勝利へのフラグとして機能している。一見何気ない家族の会話や小道具の配置に至るまで無駄なカットはひとつもなく、何度見返しても新しい発見がある細田演出の神髄がそこにある。