彼女の魅力は、単なる「可憐なヒロイン」にとどまらなかった点にある。日本初の本格特撮ホラーとも称される『吸血蛾』(1956年)や、サスペンス、時代劇、文芸作に至るまで、多種多様なジャンルで変幻自在の演技を披露した。
カメラを見つめる一瞬の目線の動き、セリフの間の取り方、背筋をすっと伸ばした立ち姿。そこには、セリフ以上に多くを語る圧倒的な表現力が宿っていた。感情を大袈裟に爆発させるのではなく、内に秘めた抑圧や情熱を微細な表情の変化で表現する手法は、現代の映画表現に通じるモダンな先進性を備えていたと言える。