チームの勝利とドラフト候補の育成。この二律背反に見える課題を、中谷はいとも簡単に両立させてみせる。なぜチームプレイを徹底しながら、個の尖った才能がそのまま伸びるのか。
答えは「役割の明確化」と「長所の徹底伸ばし」にある。短所を平準化するマニュアル指導ではなく、打撃の飛距離、走力の絶対的スピード、あるいは特定の球種のキレなど、その選手が持つ最大の武器を極限まで尖らせる。チームの戦術はその個性をパズルのように組み合わせて構築されるため、選手は己の強みを存分に発揮できる。スカウト陣が智弁和歌山の選手を高く評価するのは、プロに入ってからの「伸びしろ」がはっきりと見えるからにほかならない。