長年愛される名店であるからこそ、インターネット上には事実と異なる情報や、訪問前に知っておくべき重要な見落としが存在します。ここでは現場で混乱しやすい4つのポイントを整理します。
まず注意すべきは、席の事前予約は一切受け付けていないという点です。「大丸東京店のレストランだから電話やWebで予約できるだろう」と考えて訪れる人が後を絶ちませんが、店舗は全日「来店順の案内」を貫いています。店頭に用意された待機列に並ぶか、発券システムが稼働している場合は番号札を取って待つ必要があります。
次に、屋号の表記についてです。一般的な「イノダコーヒー」ではなく、公式には長音符号のない「イノダコーヒ」が正式名称です。この呼称には、創業者が戦前、本物の西洋文化と珈琲の味わいを日本に根付かせようとした歴史と矜持が込められており、現在も看板や食器類にはすべて「コーヒ」の文字が刻まれています。
また、看板ブレンド「アラビアの真珠」を注文する際、「あらかじめミルクと砂糖が入って提供される」のが創業以来の伝統スタイルです。注文時にスタッフから「ミルクとお砂糖はお入れしてよろしいですか?」と確認されますが、初めて訪れる方は戸惑うことがあります。ブラックで味わいたい場合は「砂糖・ミルクなし(ストレート)」と明確に伝える必要がありますが、職人が黄金比率で調合した「ミルク・砂糖入り」こそが、イノダが提唱する完成形である点は知っておいて損はありません。
さらに、モーニングメニュー「京のブランチ」の提供時間に関する誤解です。名前に「ブランチ」とあるため午前中限定と思われがちですが、大丸東京店では10時の開店から夕刻(概ね17時〜18時頃まで、売り切れ次第終了)まで注文が可能です。午後に訪れても贅沢なブランチセットを味わうことができます。