およげ!たいやきくんの光と影|ギャラ5万円の真相と子門真人の現在

およげ!たいやきくんの光と影|ギャラ5万円の真相と子門真人の現在

およげ!たいやきくんの光と影|ギャラ5万円の真相と子門真人の現在の注目ポイントを詳しく解説してご紹介します。

『およげ!たいやきくん』を取り巻く言説の中で、最も人々の好奇心を刺激し続けてきたのが「記録的な大ヒットを記録しながら、歌い手である子門真人には数千万円とも数億円とも目される歌唱印税が一切入らなかった」という金銭トラブルを巡る証言です。

結論から申し上げますと、子門真人がレコーディング時に受け取った報酬が「手取り5万円の買い取り契約」であったことは動かしがたい事実です。ただし、これはレコード会社やテレビ局が意図的に彼を搾取したというより、当時の日本のレコード業界に根強く残っていた契約慣行に起因しています。

1970年代当時、テレビ番組の挿入歌や幼児向けのレコード制作において、歌手との契約は「印税契約(売上枚数に応じた歩合)」ではなく、1曲の吹き込みにつき数万円の謝礼を支払って権利関係を完了させる「買い取り(専属実演料)契約」が通例でした。当時すでに『仮面ライダー』の主題歌などでアニソン界のトップランナーとして活躍していた子門真人にとっても、本作は数あるスタジオワークの一つに過ぎず、まさか社会現象化するとは関係者の誰もが予測していなかったのです。

結果として、作詞を手掛けた高田ひろお、作曲を担当した佐瀬寿一にはそれぞれ数億円規模の著作権印税が支払われた一方で、類稀なるソウルフルな歌声でミリオンセラーを牽引した子門の手元には、規定通りの5万円しか残りませんでした。

この不条理な格差に対し、発売元のキャニオン・レコード(現ポニーキャニオン)やフジテレビ側も完全に静観していたわけではありません。当時の関係者証言によると、歴史的ヒットへの感謝と労いの意を込めて、会社側から子門に対して「金一封(推定数百万円)」や高級外車、あるいは記念品としての「白いクラシックギター」などが贈呈されたと伝えられています。しかし、正規の歌唱印税率(一般的な相場である売上の1〜2%)に照らし合わせれば、本来なら1億円前後に達していたはずの実演報酬とは桁が二つも違う水準でした。

清水 千尋
著者

清水 千尋

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。