介護保険制度において、要支援1・要支援2および要介護1の高齢者は「軽度者」として区分されます。厚生労働省の基本方針として、軽度者に対する福祉用具貸与の例外規定が設けられており、車いすや特殊寝台(介護ベッド)、床ずれ防止用具などは「過剰な機器依存によって本人の残存機能や身体機能の維持を損なう恐れがある」という理由から、原則として給付対象外に指定されています。
自力で寝返りや起き上がりができる状態であるにもかかわらず、手元のボタン操作で背上げができる電動ベッドに頼り切ってしまうと、腹筋や下肢の筋力低下を急速に招き、かえって要介護状態の重度化を早めかねません。これが介護保険で介護ベッドが対象外とされる決定的な理由です。
ただし、制度の趣旨はあくまで「自立支援」です。身体状況や疾病の特性によってどうしても起き上がりが困難な場合や、機器の補助がなければ生活が成り立たない特別な事情がある場合には、救済措置として保険適用を認める枠組みが整備されています。