ひとつのコミックスが社会的インフラの動向や防災意識にまで影響を与えた事例は、過去に類を見ません。『私が見た未来』が他のオカルト情報や都市伝説と一線を画している最大の理由は、「出版された印刷物として確定日付が公に残されていた」という揺るぎない事実にあります。
ネット上の掲示板やSNSでは、後出しの予言やいくらでも改変可能なデジタルテキストが氾濫しています。しかし、本作は1999年に朝日ソノラマ社から刊行された紙の本の表紙に、はっきりと筆者自身の手書き文字で「大災害は2011年3月」と描かれていました。この物理的な証拠が、後述する東日本大震災の発生によって発見された瞬間、作品は単なるホラー・オカルト漫画から「第一級の予知ドキュメント」へと変貌を遂げたのです。
当時すでに絶版となっていた単行本は、ネットオークションで1冊10万円から15万円を超える超高値で取引される事態に発展。手に入らない希少性と相まって、恐怖と好奇心が混ざり合った神話的なプレミアム価値が形成されていきました。